どうも、けーしぃです。
金土日は必ず更新すると誓いを立てつつも、結局1週間に1、2本ペースに落ちてきてしまいました……。
ブログを始めてから常にネタを探す思考になっているのですが、必ずしも記事にしたいと思うネタが見つからないものです💦
そんな中で、尊敬するヘムさんの熱い書評が流れてきました。
タイトルからはものすごいハイリスクな投資法かと身構えましたが、むしろ本書の投資法は株式投資家ならば全員が目指さなければならない究極系のひとつだと思います。
なぜそう思ったのか説明していきます。
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なぜ株式投資の究極系だと思ったのか
本書は徹頭徹尾バリュー株投資についての本です。
バリュー株投資は、企業の業績推移や資産状況などを分析し、市場の評価が企業価値から乖離している場合に株を買う投資法です。
本書の構成は主に次のとおりです。
- バリュー株投資とは
- 資産バリュー株の分析方法
- 収益バリュー株の分析方法
- シクリカルバリュー株の分析方法
- 自分で書く企業レポート
私は株式投資を始めたころから、『安く買って高く売る。キャピタルゲインの最大化を目指すのが投資の本質』という信念を持っています。
この信念によりバリュー株投資を実践してきたのですが、『安い』とはどういう意味か、安く買うためには何を見ればよいかというのを常に考えていました。
最近はヘムさんの言うカタリストの引き出しを増やすため、配当利回りや配当性向等のインカムゲイン的な要素も加味しつつ、銘柄選定の精度を上げる方法を模索していましたが、本書でほぼ基本となる投資方針が固まったように思いました。
自分の投資方針
投資方針が固まったと感じた主な原因は、今までの自分の投資方針に合致する部分が多くあり、またさらに深く深く深掘りすることで、より高い収益を上げられるのびしろを感じたためです。
前述のように、これまで自分なりにバリュー株投資を実践してきましたが、主な投資方針は次のとおりです。
- PER10倍以下(ネットキャッシュによる。キャッシュニュートラルPERも加味)
- PBR1.2~1.3倍以下
- ネットキャッシュである
- 利払いがキャッシュフローで賄える
- 営業CFが毎期プラスをほぼ継続、投資CF、財務CFは毎期マイナスをほぼ継続
- 売上高、営業利益が上昇傾向(CAGRがインフレ負けしていたらNO)
- いっとき株価が上昇したときがあるが、最近は低空飛行で安定
- ある領域で独占状態や首位級、または地域で首位級
- ホームページが見やすい、IR情報が見やすい、などなど
本を読んだ感覚としては、資産バリューと収益バリューの間に位置しているかなぁと思いました。
そのような中で、本書で説明されているシクリカルバリュー株はまったく別物な印象です。
シクリカルバリュー株投資法
本書のシクリカルバリュー株投資法は、一言で言ってしまえば『景気循環に依存する銘柄』を探す投資法です。ちょっと乱暴かも。
しかもただの景気循環株ではなく、赤字を垂れ流している銘柄を買うというのですから異常です。
章の表紙の『赤字の会社こそ大儲けできるんだ』はめちゃくちゃ強力なメッセージですね。ワンチャン黒字化する企業を選ぶギャンブルだろ?と思われても仕方がない気がします。
ですが、たーちゃんさんは徹底的な企業分析、業界分析、はては直接本社のある現地に行って肌感も感じてくるなど、とてつもないエネルギーを買うか買わないかの判断に注ぎ込んでいます。
これだけ行動できる個人投資家はそうはいないのではないでしょうか。私も銘柄分析は紙版の四季報とネットで完結してしまいますが、これでは無数の個人投資家と同じパフォーマンスしか得られないと痛感しました。
シクリカルバリュー株投資法の真髄は、ぜひ本書を購入の上で感じてほしいと思います。
本書を読むときの個人的な注意点
最後に、個人的な注意点を掲載します。
気にしなくても本書は至極丁寧に解説されているため読み進めることはできますが、あった方がより深く理解できるかと思います。
財務三表を読んだことがあること
本書は繰り返し財務三表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書)が出てくるため、慣れていないと数字アレルギーを起こしてしまうかもしれません。
用語について「そういうものか」と納得できるのであれば、暗記してしまうのも手。
簿記の知識
上記のとおり財務三表が出てきますが、それぞれのつながりを事前に理解できているとより深く読み解けるかと思います。
簿記3級を持っていれば十分です。
株式投資の経験
本書は初心者でも理解できるような構成になってはいますが、やはり実際の経験があった方が理解しやすいかなと思います。
これから初めて株を買うという方は、別の入門書を数冊読んだ上で本書を読んだ方がいいかもしれません。
集中投資をするための心理的ハードル
個人的には最も重要な点だと思います。
詳細な分析を実施し、分析結果に自信を持つことと、実際にその銘柄を大量購入できることはまったく別次元の問題です。
実際に株を買っている方はわかると思いますが、たーちゃんさんのように1銘柄に資産をつっこむようなやり方は常軌を逸しています。
実際に買えるかどうか、さらには保有し続けられるかどうかは、自分の分析結果とシナリオにどれだけ真摯に向き合えるか、今までの投資人生でどれだけリスクを取ってきたかによると思います。
まとめ
あまりレビューという体裁にはなりませんでしたが、本書は間違いなく良著であると感じました。
企業価値が安く評価されているとはどういうことか、将来稼ぐ銘柄をどのように見つけるか、景気循環を考慮した『シクリカルバリュー株』はどこにあるのか。
最近は日本語の投資本でも非常に質の高いものが増えてきたような気がします。私も億り人になったら本を出したい……かも。